日本は世界でもめずらしい異民族奴隷や去勢文化がなかった国

社会・2021-06-22 18:01
日本は世界でもめずらしい異民族奴隷や去勢文化がなかった国
閉じる

国や民族というものは、皆それぞれの歴史があり、それによって国民性や民族性となって現れてくる。

日本もしかりで、なぜいまの国民性ができたのかを探ってみたい。

主なる文明はユーラシア大陸で生まれた。メソポタミアや中華文明である。やがて農耕牧畜が生まれ、農耕民と遊牧民が生まれた。遊牧民はユーラシア大陸の中央から、常に農耕民を攻め、農耕民を征服してきた。

中華大陸や欧州も遊牧民の影響を強く受けてきた。その一つが奴隷と去勢である。

古来、遊牧民は荒々しい雄馬や雄牛を去勢することで大人しくさせてきた。それを人間に応用した。

遊牧民が異民族を征服する。反抗的な男や罪人は去勢する。つまり人間の家畜化を行ってきたのだ。家畜化された人たちのことを“奴隷”と呼ぶ。

このやり方は古代オリエントや古代ギリシャ古代ローマにおいても、イスラムや中華帝国においても行われた。その中には宦官と言われ権力を手にする者もいた。

しかし牧畜の伝統がなく、異民族との戦争もほとんどなかった日本は、異民族を征服して奴隷にするという発想があまりなかった。よって琉球民族もアイヌ民族も奴隷化していない。
もちろん人身売買や奴婢(ぬひ)といった奴隷身分はあったが、それは征服した異民族ではなかった。

朝鮮半島や台湾を併合したときも、差別はあったが、国籍や選挙権を与えるなど奴隷にしようとはしなかった。米大陸を白人が征服したとき、先住民を絶滅寸前まで殺したため、わざわざ黒人奴隷を輸入ならず、1965年まで黒人の投票権がなかったのと大変な違いである。

陸の国境がある国は、国の形が変わるのは当たり前、民族移動も混血も当たり前、しかし日本人にはこの感覚があまりない。

大陸国家にとって四方の国は皆仮想敵であるが、日本の場合、文化は常に海の外からやってきて海外からは学ぶものであった。

四方を海に囲まれ、異民族から侵略をほとんど受けてこなかった地形が、いまの日本人の国民性を作ったといっていい。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

関連記事
社会新着記事