なぜ世界は西洋に飲み込まれたのか？

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現在の文明は、西洋文明によっている。我々は西洋発祥の衣服を着、西洋発祥の機械を使って生きている。

西洋は中世まで辺境の蛮国であった。それまでは世界最先端といっていいギリシャ文明の伝統を受け継いだローマ帝国がキリスト教を国教としたとき、同時に異教徒が作ったギリシャ・ローマ文明を捨ててしまったのだ。

中世のユーラシア大陸ではイスラム帝国や中華帝国の方が、はるかに文明が進んでいた。西洋諸国はインドや中華と商売をしたくても、陸路ではイスラム帝国に阻まれる。中華は実質当時の世界覇権国であった。

ただ大帝国のない中世ヨーロッパはしょっちゅう戦争を行い、戦争や兵器の技術を高めていった。

それが中世末期になると、カトリックの力が弱くなり、ルネサンス、宗教改革、大航海時代がはじまる。ちなみにルネサンスとはギリシャ・ローマ文明への再生を意味する。

大航海時代がはじまると、アフリカ大陸や南北アメリカ大陸はたちまち征服されてしまう。南北アメリカ征服の場合、西洋人最大の武器は感染症であった。南米では、西洋人が持ち込んだ感染症で先住民は10分の1以下に減ったという。
そのためアフリカから15世紀から19世紀の間に1000万人もの黒人が奴隷として運ばれていった。

また、キリスト教が与えた影響も大きい。キリスト教の使命の一つが伝道であり、未開の地に乗り込み布教をする。逆らえば富を奪い、殺すか奴隷にする。逆らわなければ富を奪い奴隷にする。その土地は植民地にする。

それら植民地からの富で科学が発展。すると科学革命や産業革命が起こり、資本主義が生まれる。

かくして全世界が西洋文明に飲み込まれていった。

日本の場合、清国がアヘン戦争で敗れたことを知ると、慌てに慌て、徳川幕府を倒して急いで自ら西洋化をはかり、敗戦を経験しながら（米国を西洋国家とするならば）、唯一G7（主要7か国）の中に、西洋人国家でない国として入っている。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008～2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。