文明は人類を幸せにしたのか?

社会・2021-03-01 18:48
文明は人類を幸せにしたのか?
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人類は約1万年前に狩猟採集をやめ農耕をはじめた。人類は、農耕をすることでこれまでより楽に生きることができると思ったのかもしれない。しかしそれは間違いであった。狩猟採集時代の労働時間は2~4時間程度だったのが、農耕民は夜明けから日暮れまで働かざるをえなくなった。

文明が起こり国ができると、これまでなかった貧富の差と身分制度が生まれ、農地を奪い合う戦争が起こるようになった。

狩猟採集時代は、人々は【密】なって暮らしていなかったため、伝染病が流行るということはなかった。しかし都市や村に暮らしていると【密】になるため伝染病が流行りやすく大量に死者を出した。

狩猟採集時代は、肉はもちろん、多様なナッツやフルーツを食べていたが、農耕をはじめると農作物に食が偏り、身長が低くなり、寿命も短くなった。

狩猟採集時代にも気候変動等での飢餓があったが、定住しない彼らは、寒冷期が来ると生存可能な緯度まで移動した。しかし農耕民は土地と、支配者や国境に縛られ移動が難しかった。

また気候だけではなく田畑には、同一の作物を植えているため、作物に病気が流行ると不作になり、人々はバタバタと餓死した。

19世紀のアイルランドでは、食をジャガイモに頼っていたため、ジャガイモの病気が流行り、多くの餓死者が出た。そして多くのアイルランド人が米国に逃げたのは有名な話だ。

農耕は文明を生み、科学を生み、人類を豊かにしたのは確かだ。しかし20世紀になると、世界戦争、発展途上国の深刻な飢餓、世界的伝染病で多くの人を苦しめた。

文明ははたして本当に人類を幸せにしたのだろうか?

21世紀になり、大きな戦争はほぼなくなった。飢餓も90年代は10億人超から近年では8億超まで減っている。新型コロナは世界中で猛威をふるったが、人類は1年を待たずワクチンを完成させた。

これからの文明に期待したいところだが、はたして……

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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