【ゴーストガン】手製の銃は止められない?

エンタメ・2022-07-13 18:32
【ゴーストガン】手製の銃は止められない?
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安部元総理を襲った銃は、これまであまり話題になったことがない【手作りの銃】であった。一枚の板の上に鉄パイプを2本並べたものに、ガムテープをぐるぐる巻きにして固定したものという、比較的シンプルな作りのもので、素人でもその気になれば作れるようなものであった。

山上徹也容疑者の供述によると、部品や火薬はネットで購入したということだ。これまで日本において銃関連の事件といえば、暴力団関係者などが裏ルートで手に入れた拳銃や、モデルガンを改造した拳銃。あるいは猟銃などを犯行に使うのがほとんどであった。

ある意味、日本には手製の銃という発想がなかったため、警察官の拳銃を狙う者が何人もいたくらいだ。

しかしいまの時代、手製銃の作り方はネットにたくさん出ているし、銃というものの基本構造は、鉄パイプに火薬を詰め、弾を入れ着火するというシンプルなものだ。火薬や部品がネットで購入できるとしたら、作るのはそれほど難しくはない。

山上容疑者は「最初、爆弾を作ろうとした、うまくいかなかったので、銃を作ることにした」と語っているという。

手製の爆弾と言えば、2013年のボストンマラソン爆発事件が有名だ。この爆弾テロでは3人が死亡、282人が負傷した事件だ。

その時の手製爆弾は圧力鍋を使ったもので、花火の火薬を使い殺傷能力を増すために釘が入れられていたという。この圧力鍋爆弾も、比較的簡単に作れるため、過去に数多くテロなどに使われている。

他にも2014年に、大学職員の男が3Dプリンターで殺傷能力がある銃を作り、SNSに投降したため逮捕、懲役2年の実刑判決を受けるということがあった。米国ではすでに3Dプリンターの銃や手製の銃が社会問題化していて、手製銃の犯罪が急増している。

こうした手製の銃はゴーストガン(幽霊銃)と言われ、シリアルナンバー(製品番号)のない銃なので、警察もなかなか把握することができない。もしテロリストや殺人願望者が、自分で銃や爆弾を作り、実行するとすれば、それを阻止するのはかなり難しくなる。

日本は銃社会ともっとも遠いところにある国だったが、安部元総理の銃撃事件がヒントになり、マネをするような愚か者が出ないことを祈るばかりだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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