資本主義と社会主義は対立するか?

社会・2020-12-18 17:50
資本主義と社会主義は対立するか?
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20世紀は『社会主義の実験の世紀』とも言われている。
19世紀にマルクスが考え出した革命思想や社会主義・共産主義は全世界に多大な影響を与えた。

マルクスの思想では、支配階級(ブルジョワジー)と労働者階級(プロレタリア)があり、やがて労働者階級が革命を起こし、階級のない社会主義・共産主義社会を確立するとしたのだ。
その影響で、ロシア帝国はソビエト連邦となり、中国や北朝鮮、カンボジア等で、共産党政権が生まれた。

その結果は悲惨で、粛清・虐殺の嵐! 本来の目的であった平等な社会は実現せず、一部特権階級が支配する社会となってしまった。『社会主義の実験』は失敗に終わったように見えた。

かつて冷戦時代、ソ連を代表とする東側(社会主義国)とアメリカを代表とする西側(資本主義国)に分かれたが、1991年ソ連が崩壊とともに社会主義も無くなるかと思われた。

しかし現在、皮肉なことにかつて西側であった西ヨーロッパの多くの国が一部社会主義を取り入れ、社会民主主義となっている。これは、暴力革命やプロレタリア独裁を否定し,議会政治を通して福祉国家を目指そうというもの。

一方我が国はどうかというと、かつて、ソ連のゴルバチョフ書記長は日本を訪れた時に「日本は世界で最も成功した社会主義国である」と語ったという。日本は国民皆保険があり、当時はまだ終身雇用、年功序列の企業や福利厚生が手厚かった時代でもあったからだ。しかしバブル崩壊以来ながく続く不況や、新自由主義の台頭で、いまやアメリカに次ぐ資本主義社会となった。

「資本主義」や「社会主義」の「主義」というのは英語で言うと「イズム」である。20世紀はこの「イズム」の違いで戦争が起こり、多くの人が殺された。人間のやることに完全がないとすると、「イズム」ではなく「システム(仕組み)」として取り入れることで対立ではなく、両立ができるのではないだろうか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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