依存症の怖さはやめられないことではない

社会・2020-12-08 12:38
依存症の怖さはやめられないことではない
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覚せい剤や違法薬物で4回も逮捕されたタレントの田代まさし氏、アルコール依存症であることを告白した元TOKIOの山口達也氏など、世の中には依存症に苦しむ人のなんと多いことか。

ちなみに平成16年版犯罪白書によると、平成15年年末において,受刑者の24.8%が覚せい剤受刑者。再犯者も多い。

覚せい剤は確かに恐ろしい薬物だが、多くの依存症医療者がそれ以上に恐ろしいのはアルコール飲料だという。

覚せい剤と違って、アルコールは24時間コンビニで買えるからだ。しかも本来アルコールが苦手という人でも、甘く味付けされたものはジュース感覚で飲めてしまう。値段もジュースより安いものがあるくらいだから、気軽に手が出せる。

ちなみに「毎日お酒を飲んでいる=アルコール依存症」というわけではないそうだ。臨床心理士の信田さよ子著『依存症』によると問題は【何が起こっているか】であり【家族で楽しく晩酌しながら会話ができ、疲れが取れてよく眠れていれば、それはアルコール依存であってもアルコール依存症ではない】という。

依存症には多くの種類がある。例えば買い物依存症というものがあるが、普通毎日買い物をしても買い物依存症にはならない。つまり依存症とは「自分と周囲に迷惑をかけるかどうか」なのだ。

ベトナム戦争のとき、米兵の20%が覚せい剤より強い依存性があるヘロイン依存症であったが、帰国してもヘロイン依存症だったのはわずかに5%。95%は、依存症にはならなかった。なぜか?

95%の帰還兵には、薬物以上に幸せをくれる温かい家族や友人、仕事があり孤独にならずにすんだからだ。

依存症の本当の怖さは、本人における底なしの孤独感にある。この孤独感を埋めない限り、一つの依存症を克服しても、他の依存症になったり、何度も同じ依存症を繰り返すことになるのだ。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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