工藤会総裁死刑判決! これが表しているもの

社会・2021-08-26 18:25

特定危険指定暴力団・工藤会総裁の野村悟被告に死刑判決が出た。ナンバー2である田上不美夫被告は無期懲役である。

指定暴力団トップに死刑判決が出たのは初めてのことだ。

両被告は、1998年に湾岸整備公共事業の利権介入を断られたため、元漁協組合長を射殺。
2012年、暴力団担当の元警部補を銃撃。
2013年、野村被告の施術担当の女性看護師刺傷。
2014年、元漁協組合長の孫の男性歯科医師刺傷など、4件を組員に指示、実行させたという罪による判決であった。

ここでわかるのは、ずいぶんと古い事件ばかりであり、実行犯はすでに服役している言わば”終わった事件“であり、殺されたのは一人だけ、しかも両被告から直接指示があったという証拠もなく、死刑判決になったということである。

また通常の裁判だと、殺人被害者が3名以上で死刑というのが普通である。ではなぜ死刑・無期懲役というもっとも重い罪となったのか?

工藤会は、前述の4件以外に、1988年、”みかじめ料”を断った健康センターに殺鼠剤を投げ込み、150人以上の市民が中毒症状になるという事件を起こす。中国総領事館に発砲する。2003年、高級クラブに手りゅう弾を投げ込み12人に重軽傷を負わせるなどをしている。

不特定多数市民への殺傷や、外国領事館への発砲。一人しか殺していないのに死刑・無期懲役という重刑は、これは従来の暴力団ではなく、テロ組織という見解を司法側が持ち、最初から死刑・無期懲役ありきであったのかもしれない。

そしてこの判定が今後、他の暴力団にも当てはめられるとすれば、組員は親分に忖度しての行動はやりにくくなる。忖度してやったことが親分の指示とされ、親分が逮捕される可能性があるということだからだ。

まだこれから、高裁、最高裁と裁判は続くのだろうが、はたしてどうなるのだろうか……

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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