言語やあいさつが違う人間という種の不思議

エンタメ・2022-12-29 18:55
言語やあいさつが違う人間という種の不思議
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旧約聖書の「創世記」によると、元々すべての人間は、同じ言葉であったという。
ある日人間たちが、天にも届くような塔を建てようとした。これをよしとしなかった神が、人々の言葉を乱し、通じなくした。
つまりいくつもの言語を作り、人々の話を通じなくしたという。いわゆる「バベルの塔伝説」である。

人間は言語を使ってコミュニケーションをとる動物だ。
しかしその言語は統一されておらず、世界には約7000もの言語があるという。

もしかしたら、人類が誕生したころは、共通の言語であったのかもしれないが、どんどん枝分かれしていった。
江戸時代の日本でも、鹿児島と青森の人の言葉はほとんど通じなかっただろう。
同じ日本語でも、ぼくたちが平安時代にタイムスリップしたら、やはりほとんど通じないに違いない。

あいさつもそうだ。
日本人は人と出会うとお辞儀をする。
ヨーロッパだと、握手をしたりハグしたりする。
チベットでは舌を突き出し、東アフリカのキクユ族では相手の手にツバをかけるという。

しかし犬や猫ではどうだろう?
アフリカの犬もブラジルの犬も日本の犬も、あいさつは共通しているはずだ。
しかるに人間だけはコミュニケーションの仕方が、文化や共同体で違う。

コミュニケーションのやり方が違うというのは、遺伝子に組み込まれておらず、逆に言えば人間は遺伝子の行動パターンだけでは、生きていけないということだ。

我々ホモ・サピエンスは7万年前、脳に突然変異がおこり、目に見えないものが存在すると考えるようになった。
神を想像し、死後の世界があるとした共同幻想を持つようになった。

その中には、美意識やモラルもある。そして言葉やあいさつといったコミュニケーションの方法やルールも発達した大脳で作り出すことになる。

これらは遺伝子に組み込まれていない情報なので、比較的容易に変化する。
その結果、世界中に違う言語が生まれ、違うあいさつができたのだ。

現在世界の共通言語は英語であり、あいさつやマナーは西洋流が中心となっている。
しかし今後、中国が覇権を取り、世界の中心になると共通言語は中国語になっているかもしれない。

この日本も、数百年後には日本語は大きく変化し、現代語では通用しなくなり、あいさつも文化も大きく変化していることだろう。

ここらへんが人間という生き物のおもしろいところかもしれない。

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