戦中・戦後 天皇家はどんな食事をしていたのか?
社会・2021-08-17 10:27天皇は世界で唯一のエンペラー(皇帝)と呼ばれる存在。はたしてそんなすごい人は、普段どんなものを食べているのだろうか?
江戸時代、皇室は幕府から約3万石の収入を得ていたが、経済的に大変で、見かねた出入り業者が食事を献上するなど、質素な食事であったようだ。
明治維新後、天皇家は大財閥をはるかにしのぐ大富豪になるが、食事は伝統的に質素なまま。太平洋戦争前の皇室財産は、現在のお金にすると数千億円もあったというが、それでも食事は質素のままというのは、いかにも日本の皇室らしい。これは明治になって大大名から華族になった家でも同じで、お金があるから毎日豪華絢爛な食事というのは、日本の場合、成り上がり者ということになるらしい。
太平洋戦争になると、深刻な食糧難となり、これまで食卓に上らなかったイワシやサンマ、サバといった下魚も天皇家の食卓に現れるようなる。これはまじめな性格の昭和天皇ご自身が、闇物資の仕入れを禁止したことによる。
主食は配給米に麦を混ぜたものを1日1食。他の2食は、うどんやすいとん、そば、イモや代用パンであった。代用パンとは、小麦粉に大豆粉、トウモロコシ粉、干し草粉やドングリ粉を混ぜたもので、終戦後の食糧難の時、一度白い普通のパンが出たことがあるが「国民に申し訳ないから」と食されなかった。
サバなどは昭和天皇の好物となり、戦後も食されていたようだ。ちなみに昭和天皇の好物は『鰻のかば焼き』で、ある記録によると昭和59年に鰻の蒲焼を食べた回数は22回に対して、サバの味噌煮は12回あったという。
戦後、天皇は「金の箸」で食べるとか、コメは「一粒ずつ選ったものだ」という噂が出たりもしたが、実態はまるで違っていたようだ。
現在でも、特に贅沢な食事内容ではなく、一般家庭と大差はないらしい。ただし食材と料理人は超一流であるという。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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