日本はいまだ鎖国の呪いにかけられているのか

社会・2021-07-21 18:12

日本は島国であり、元々グローバルな国であった。平安初期に書かれた『新撰姓氏録』は近畿地方の氏族のルーツを記したものだが、そのうち約3分の1が帰化人や渡来系であった。その中には中国や朝鮮系に加えて東南アジア系も、インド系もアラブ系や東欧系もいたという。

鎌倉時代から戦国時代にかけては、倭寇と呼ばれる人たちが東アジア・東南アジアで手広く交易をやっていた。

やがて徳川家康により天下統一、日本はオランダ・清・朝鮮・琉球・アイヌ以外との交流を閉ざす。

鎖国の理由は、キリスト教流入の禁止。これは戦国時代、西国大名の多くが、キリスト教に帰依することで、スペインポルトガルから武器の材料である鉛や硝石を輸入していたため、西国大名の武力を削ぐためであった。

他にも日本から大量の金や銀を流出していたのを防ぐという意味もあった。

海外との貿易がなくなっても、日本は内需だけで生活できた。それだけ豊かだったのだ。そして250年間太平の眠りにつく。

その間、西欧諸国は科学革命や産業革命を起こし、世界への侵略速度を速めていく。そして東の覇権国清国は、アヘン戦争で英国に手もなくひねられ、次は日本かと徳川幕府は思った。ロシア帝国からも盛んに開国を迫られ、あまり知られていないようだが、1861年(文久1)に、対馬が数か月間占領されたりもした。

日本の開国のはじまりは1854年(安政1)、ペリーによって強引に開かれ、その後何度かの国際戦争を経験しながら、日本人や日本企業は世界に進出した。

ただ日本のパスポート所有率は先進国最低の24%だ。英国76%、カナダ66%、米国42%と日本人の海外志向はそれほど強くないらしい。現在、日本に暮らす外国籍の人はわずかに2%程度。

21世紀の日本人は、内向き志向だ。まさかいまだに江戸時代の鎖国の影響下にあるわけでもあるまいに。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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