医療少年院は大量殺人者を治療できるか?

社会・2021-05-12 10:06
医療少年院は大量殺人者を治療できるか?
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茨城県境町で起きた一家4人死傷事件で、岡庭由征容疑(26)が逮捕された。

物騒な世の中だとよく言われるが、刑法犯は18年連続で減少。殺人事件件数はというと、最も多かったのは1954年の3,081件、その後減り続けこの10年では900から1,000件ほどで推移とやはり減少傾向にある。

しかしそれでも、ときどき大量殺人や連続殺人犯が現れる。彼らには共通点があり、神戸連続児童殺傷事件の「酒鬼薔薇聖斗」、池田小児童殺傷事件の宅間守、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤、これらの凶悪犯罪者は、過去に動物を虐殺していた。

岡庭容疑者も、未成年の頃から放火、猫など小動物の虐殺、さらには16歳のときに女子中学生・女子小学生をナイフで切りつけたり刺したりという事件を起こし、医療少年院に入れられている。

医療少年院とは、精神的・身体的に疾患のある少年に矯正教育をする施設である。矯正とは異常なものを正常にすることだが、岡庭容疑者のような場合、小動物の虐殺や殺人への欲求を精神科治療でなんとかしようというものである。

岡庭容疑者の場合、過去逮捕された時も罪の意識はないところから、情動の一部が欠如している反社会性パーソナリティ障害もしくはサイコパスと推測できる。

と、なるとそういう人は、精神科治療で正常に戻すというのは難しい。医学事典にも「特定の治療法によって長期的な改善が得られるという証拠は存在しない」とある。
もしかしたら彼らは、たまたまそのような【脳】を持って生まれてきたのかもしれない。

だとしたら、このような殺人への欲求を持った少年が医療少年院に再び現れたとしても無力ということだ。

と、したら、これから先、いかに刑法犯が減ろうが、一定数の大量殺人犯が現れることだろう。

やがて脳科学が発達し、殺人への欲求無くす治療が生まれるかもしれないが、しかしそれは、倫理的に許されるのだろうか? かつてのロボトミー手術のように……

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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