「妹に頼まれて殺した」嘱託殺人とは何か?

社会・2021-09-21 18:02

東京・羽村市の住宅で、妹の首を絞めて殺害しようとしたとして77歳の女が逮捕された。

この女は今年の4月、あきる野市で同居する息子(三男・当時47歳)を殺害した嘱託(しょくたく)殺人の罪で起訴され、保釈中であった。

この女は約半年で2人の家族を殺したことになる。

嘱託殺人とは【被害者から「私を殺してくれ」と頼まれて、その被害者を殺害すること】である。

法律では、「6カ月以上7年以下の懲役、または禁錮」となるが、多くの場合、懲役は3~4年。場合によっては、実刑にならないこともある。実刑にならない場合とは、執行猶予が予想されることや、逃亡の恐れがないなどの理由があるなどの場合だ。

今回の女もそうであった。息子を殺した事件では、息子が重い糖尿病で自殺未遂をしたが死にきれず、母親である女に「殺してほしい」と頼んだという。頼まれた女は4月に殺害し逮捕。6月に起訴されたが7月に保釈されている。

今回の事件が、特殊なのは同じ女が保釈後にまた、家族を殺してしまったことだ。

いまのところ、殺された妹は、何か障害や病気があったかどうかは、まだわかっていない。そして本当に嘱託殺人であったかもまだ不明。被害者との間に、金銭トラブルや怨恨があったかどうかも不明。これからの捜査や裁判を待ちたい。

今回の事件は家族間での殺人であった。殺人事件は、過半数が親族間殺人である。そして殺人事件そのものは年々減っているにも関わらず、家族や血族の殺人は増加している。

今後、高齢化がすすみ介護の問題なども増えてくるだろう。病気の苦しみから逃れるために、老いた親が子どもに「楽にしてくれ」と懇願するような例が増えてくるかもしれない。

そういう人が一人でも出ないような世の中を、いまから作っておくべきだろう。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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