不安は人を愚かにするらしい
エンタメ・2021-10-01 18:00新型コロナが流行るようになって、いろいろなデマや陰謀論が流れた。最初は昨年の2月末であった。Twitterに書き込まれた「新型肺炎の影響で、トイレットペーパーが中国から輸入できず品不足になる」というものが、たちまち拡散。一夜にしてトイレットペーパーが店から消えた。
ほかにも「ビタミンDが効く」「アオサや海藻類が効く」などもあった。また「ラジウム石やラドンをふくむ花崗岩が良い」というので、どう見てもただの石ころを、フリマで数万円もの値段をつけて売る人がいた。
笑ってしまったのが「コロナウイルスは熱に弱く、26~27度のお湯を飲むと感染しない」という噂が拡散したときだ。お風呂の温度が40度ちょっと。26~27度というと温水プールの温度で、せいぜいぬるま湯。考えなくても殺菌ができる温度ではないことくらいわかるはず。
最初はジョークで拡散しているのだろうと思っていたが、筆者の知り合いでそれなりに知的であろう人も拡散に参加しており、噂を信じて【親切心から】広めていたらしい。
新型コロナワクチンのデマも、なかなかすごい。「接種後5年以内に死ぬ」「接種した場所に磁石がくっつく」「ふれたら電球がつく」「5G と繋がり操られる」「思考を奪い取るマイクロチップが入っている」などなど。
ユニークなのは「接種した場所からトマトが生える」というものもあった。これは「ワクチン入りトマトが出回っている」というデマから派生したらしい。
これら一見バカバカしい噂やデマを信じる人は、不安感や公的なものへの不信感が強い人に多いという。中には不妊になるなど悪質なものもあり、笑ってばかりもいられない。
これらのデマを信じる人の知能が低いというわけではない。しかし不安は人を愚かにするらしい。不安は枯れ尾花を幽霊にしてしまうのだ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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