21世紀の日本人の寿命は41歳という珍本があった
エンタメ・2021-07-01 18:09書庫でいろいろと資料を探しているとある本が目に入った。「41歳寿命説」 著者は西丸震哉氏、1990年8月に第一刷で、私が持っているものが同年10月で第22刷だから、大変な大ヒット作である。
この本によると1959年(昭和34年)以降に生まれた人は41歳までしか生きられないというのだ。
その理由は、1959年前後から日本人は飽食をはじめ、これまであまり摂らなかったタンパク質を食べだし、同時に農薬や食品添加物などの“毒物”を大量に取り入れ、水や空気の汚染から「今の若者はナチスのガス室にいるのも同然」だからだそうな。
他には「近い将来、日本は高齢化社会に突入し、日本人全体の寿命がさらに延びるようなことをいうが、それはマヤカシに過ぎない」「1946~50年に生まれた団塊の世代と呼ばれる人たちは、55歳になった時点で半数がいなくなる」と、高齢化社会はこないと予言している。
もちろんこれらの予言は、大いに外れ90年当時から比べても寿命は延び続けており、そして現実に高齢化社会が来ている。
実はこの手の本や説は、70年代からあり、おそらくそれ以前にもあったことだろう。この系統は、いまも一定の人の支持を得ていて、「農薬や食添加物を食べると奇形の子どもが生まれやすくなる」「牛乳を飲むとがんや心臓病が増える」「ワクチンを打つと不妊になる」「5Gで操られる」などなど、いわゆるトンデモ論と同列なものといっていい。
誰だって「●●を食べればがんになる」「●●を接種すると寿命が縮まる」と言われれば「え?」と思い怖くなる。その結果その本は売れ、場合によっては著者がカリスマになることもある。
これら科学的根拠などないのに、不安を煽る情報はこれからも無くならないし、ネットのおかげでこれまで以上に多発するだろう。こういったトンデモ情報を信じるか信じないかは、あなた次第だ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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