中高年ひきこもりの悲惨な時代背景

エンタメ・2021-10-14 18:08

かつては、ひきこもりやニートというと、若者の問題とされてきたが、現在ではそうでもないらしい。

内閣府の調査によると、全国の40歳から64歳までの人口の1.45%に当たる61.3万人がひきこもり状態にあると推計され、15歳から39歳までの者を対象とした調査でも、人口の1.57%に当たる54.1万人が、ひきこもり状態にあると考えられており、「ひきこもり」は、どの年齢層にもいるし、なる可能性がある。

ひきこもりの期間は、7年以上の者の割合が5割近くを占めており、ひきこもりになった年齢は全年齢層に分布している。

きっかけは、以前は「不登校」と「職場になじめなかった」が多かったのだが、いまでは「退職したこと」、「人間関係がうまくいかなかった」、「病気」、「職場になじめなかった」などが多くなっている。

また、中高年のひきこもりの時代背景としては、バブル崩壊後の長期に渡る就職氷河期や不景気が関係していると言われている。筆者の知人にも2000年前後に69社に就職のため面接を受けたが落とされ、70社目に合格した人がいる。どんな人でも数十社の会社から落とされると、自分が否定されたような気持ちになるだろう。これらのために心を病む人も多くいたと思われる。

この時代はブラック企業という言葉が誕生した時代でもあり、ようやく滑り込んだ企業がブラックだとしても、辞めるのは勇気がいることだろう。

ひきこもりが社会問題化してきたのは、2000年前後だが、その時代にひきこもりになった人は、すでに50歳を超えた人もいる。いわゆる5080問題で、ひきこもりの親世代が80代になり、親の介護や亡くなった場合、ひきこもりの子どもはどうなるのかという問題だ。

長期間ひきこもった人に、単独での親の介護や就職活動は難しいため、多様な支援が必要となる。

よく「ひきこもりは甘え」という人がいるが、様々な時代背景社会背景が生んだ現象であることを忘れてはならない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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