日本の食料問題 本当に心配しないといけないのはエネルギーだ

社会・2022-06-27 18:59
日本の食料問題 本当に心配しないといけないのはエネルギーだ
閉じる

マスコミが世界食糧危機と騒いでおります。日本は食糧自給率が低いから絶望的だと。カロリーベースで食料自給率は3割程度だからダメなんだと。

しかしです。日本は1970年から2018年まで“減反政策“をやっていたのです。食料自給率が低いのに? 減反政策というのは、コメを作りすぎないように政府が干渉するもので、60年代、すでに日本の農家は日本人が消費する以上のコメを作り出していました。

日本政府は戦後の食料不足解決のために、農家を保護しコメを買い取っていました。しかし作りすぎのため政府が買い取ったお金より安くコメを放出しなくてはならなくなっていたのです。まさにコメ余り状態でした。

減反政策をしなくなったいまでも主食のコメは自給率100%です。ちなみに2021年、日本の食料輸出額は1兆2000憶円以上になりました。

そして食料輸入量はここ60年間であまり増えていないのです。60年前といえばまだ日本の総人口が1億人に達していなかったのにです。

日本の食料自給率の計算の仕方はいくつかあって、世界標準では「生産額ベース」で算出されます。「カロリーベース」で算出しているのは、日本くらいで、これは農林水産庁が、食料自給率を低くして「食料危機」を煽り、より多くの予算を分捕るための作戦なのです。

では、生産額ベースだと食料自給率がどうなるかというと、カロリーベース約3割から、約7割弱に跳ね上がります。

「あれ? 日本の農家は高齢化、後継者不足なのに?」と思った方も多いことでしょう。それは事実で、大いに深刻な問題です。いまのところこの問題をカバーしているのは、日本農業の合理化と機械化です。

世界における日本農業について、国内生産額で見れば中国、米国、インド、ブラジルに続いて第5位の農業大国であるらしいのです。しかし食料の安全保障をいうことを考えれば、小麦や大豆は輸入に頼っていますから、これを解決するためには、二毛作で冬に小麦や大豆を作ってもいいかもしれません。

また1993年、記録的な冷夏の影響でコメ不足になったことがありました。この時は急遽タイなどからコメを輸入しましたが、中には「まずい」といって捨ててしまう人もいたくらいで約98万トンの輸入米が売れ残りました。つまり誰も飢えなかったのです。

日本の農業が実はとても強いということはおわかりいただけたかと思いますが、それを支えているのは、電気やガソリンといったエネルギーです。

いまの農業はエネルギーがないとどうにもなりません。資源のない我が国において、食料危機をまねくのはエネルギーの高騰や不足でしょう。エネルギーがなければ我が国は崩壊すると言っても過言ではないでしょう。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

関連記事
関連タグ
社会新着記事