死ぬ瞬間の謎 生と死の境界はよくわかっていない

エンタメ・2023-02-03 19:11
死ぬ瞬間の謎 生と死の境界はよくわかっていない
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どんな大富豪だろうが、世界を支配するような権力者だろうが避けられないものがある。
それが【死】だ。
死は誰もが経験するものだが、誰もその経験を人に話すことはできない。
だから我々はいまだに死についてよくわからないのだ。

「いやいや、世の中には“臨死体験”というものがあるじゃないか」
という人もいる。臨死体験者は心停止の後、よみがえった人のうち18%もの人が体験するというから、そうめずらしいものではないのかもしれない。

だが・・・ 心停止=死ではないらしい。

事故などで人が倒れている。呼吸をしておらず心臓も動いていない。だからといって死んだと決まったわけではなく、救急救命について多少の知識がある人なら心臓マッサージや人工呼吸、AED(自動体外式除細動器)を使って、なんとかしようとするだろう。
その結果、一命をとりとめた人も大勢いるのだ。

また六法全書には『墓地、埋葬等に関する法律』というものがあり、そこには「死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これ(火葬や埋葬)を行つてはならない」とある。
なぜか。
それは生と死の境界があいまいであるからだ。

普通、人間が死んだと判断するためには
1,呼吸の停止
2,心臓の停止
3,瞳孔反応がなくなる
という3つをもって人の死としている。これを【死の三徴候】というが、医師がこれを確認しても、まれに息を吹き返す人がいるため、24時間経過しないと火葬も埋葬もしてはならないとされているのだ。

また、この「死の三徴候」を確認されたあと、人間の脳はしばらくの間、普段より活発になることがわかっている。

また「死の三徴候」の後もヒゲなどは生え続けるし、臓器もしばらくは生きている。
臓器が生きているからこそ、心臓移植など生体移植をすることができるのだ。

話を臨死体験に戻そう。人は死の瞬間に、なぜそういう体験をするのだろうか? 臨死体験では
・幸福感
・死んだ人との出会い
・トンネルをくぐる
などの体験が多いそうだ。特に幸福感は臨死体験者の半数以上が経験したという。

ひとつ救われるのは、死の瞬間に「苦しい」とか「死にたくない」ではなく「幸福感」が多いというところだ。これは、心停止や呼吸停止のあと、脳が一瞬活発になり、エンドルフィンという鎮痛効果や幸福感が得られる脳内麻薬を放出するからではないかと考えられている。

また死の瞬間を眠る瞬間と同じと例える人もいる。
我々が毎日経験している眠りに落ちる瞬間は、誰も自覚できない。いつの間にか眠りについている。死の瞬間もそのようなものではないかと。

死はいつか誰にでも訪れるものだ。その日がいつなのかは誰にもわからないが、何にせよ我々は死ぬまで生きるしかないのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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