モーニングショー玉川氏が語ったワイドショーの作り方

社会・2022-10-17 18:50
モーニングショー玉川氏が語ったワイドショーの作り方
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正直いって『羽鳥慎一モーニングショー』のコメンテーター玉川徹氏の安倍元総理への国葬・電通発言が、これほど尾を引く問題になるとは思っていなかった。

だから玉川氏が10日間の謹慎と聞いたとき「ああ、電通を怒らせてしまったのかな」と、思ったのだ。広告で収入を得る民放にとって、収入源である広告を引っ張ってきてくれる広告代理店「電通」とは、切っても切れない関係である。テレビCMの相当部分を電通が担当している。その電通に対して、まったく電通が関わっていないのに、まるで悪い印象が残るような言い方で「当然、これ電通が入っていますからね」と言ってしまった。

今回の発言を改めて見直してみると、安倍氏の国葬に関して玉川氏は「これは政治的意図がある」「国葬じゃなかったらこれだけテレビは取り上げなかった」「ぼくも仕事上見ざるを得ない状況になった」と、さんざん今回の国葬叩いている。これは国民の国葬反対が多数だったので、国葬を叩くことで視聴率が上がると踏んだのだろう。そして問題の発言は

「ぼくは演出側の人間ですからね。テレビのディレクターをやってきましたから。それはそういう風に作りますよ、当然ながら。政治的意図がにおわないように、それは制作者としては考えますよ。当然これ電通が入ってますからね。」

と語りさらに「国民の感動など演出家の考え方でどうにでもなる」的な発言もあった。

さて玉川氏の発言で面白いのは「電通が入っている」というフェイク情報を当たり前のように語っているところではなく「ぼくは演出側の人間、テレビディレクターだから、当然そういうふうに作る」と、ワイドショーの作り方をシレっと語っていることだ。

以前から「世論はワイドショーで作られる」と言われるくらい視聴者への影響力が大きい。ワイドショーが誰かを悪役に仕立てようとしたら、視聴者はそう思い込んでしまう。有名なところでは松本サリン事件のとき、被害者の河野義行氏を犯人と決めつけ大バッシングを繰り返したことがある。結果視聴者の多くが河野氏を犯人と信じたのだ。

他にも新型コロナが出始めたころ、玉川氏はじめワイドショーのコメンテーターは盛んに「PCR検査を国民全員に」とわめいていた。しかし国民全員にPCR検査をやるとしたら、そのキッドや施設、隔離場所を用意しているうちに、感染者は増え続けるわけで、ほとんど役に立たない。しかしそんなことはわかっていても、ワイドショーはこれでもかと不安を煽り続けた。

さらに街中をカメラが写したときたまにマスクをしていない人がいると、まるで悪人のような言い方をすることもあった。人にはそれぞれ事情があるにも関わらずだ。

ワイドショーは不安や不満、感動などを演出して視聴率を稼ぐエンタメ番組だ。玉川氏は今回の発言で、それをバラしてしまったのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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