銀行の終焉を感じた日

社会・2021-03-31 18:45
銀行の終焉を感じた日
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たったいまある支払いで、銀行に行ってきた。コロナ禍のせいか5つある窓口のうち、一つしか空いていない。受付の行員は、手に液晶タブレットを持ち、高齢者に一生懸命説明をしていた。

「なるほど、銀行の大リストラ時代でも、こういう接客業的な仕事は残るのだろうなあ」と、ぼんやりと見ていた。大手銀行のリストラが話題にのぼるようになって久しいが、現実に5つあった窓口が一つになっても業務を回せているらしい。

現在、大手銀行は、リストラを進めながらも人出不足に困っているという。IT化や新規事業にともない【使える人材】が欲しいのだが、銀行員の多くは、従来の業務から新しい業務や事業に対応できない人が多いという。

これはなにも銀行に限ったことではなく、他の多くの職種にも言えることで、OECD(経済協力開発機構)が、先進国を中心に33ヵ国、21万5942人、年齢16~65歳を対象に、パソコンスキルの調査を実施したところ、まったくパソコンが使えない日本人は26%、「メールを削除してください」レベルならできる人14%、「●●さんのメールを探してください」レベルができる人29%と、パソコンを使いこなせない人がかなり多いことがわかる。

こういう人は、もし会社が、IT化を進めた場合、真っ先にリストラ候補になってしまうだろう。

さすがに、かつて銀行に就職できるだけでエリートと言われていたくらいだから、パソコンが使えない銀行員などいないと思うが、銀行員は、職業柄キッチリしていてマジメな人が多いので、新しい事業や業務に対応するのがかえって大変なのかもしれない。

いまやITやAIの発達と浸透によって、急速に銀行員のリストラ、支店の削減が行われているという。銀行員がエリートという時代は終わりつつあるのかもしれない。

これは銀行員だけではなく、実に多くの業種が減り、まだ見ぬ業種が誕生するのだろう。そこが天国か地獄か、まだわからない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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