アフガニスタン政府崩壊の裏に中国の思惑
社会・2021-08-17 18:10アフガニスタンで、反政府武装勢力タリバンが首都カブールを制圧。ガニ大統領は国外に逃亡、タリバンは戦争終結を宣言と、事実上アフガニスタン政府は崩壊した。
中には「戦争が終わったから良かった」と単純に喜んでいる日本人もいるが、はたしてアフガニスタンの戦争終結は手放しで喜べるものなのだろうか?
実はタリバンの背後に中国がいるのだ。中国の王毅(おうき)外相は、先月28日、天津市でタリバンの幹部と会談し、アフガニスタン和平などについて意見交換を行っている。
中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道官は、「アフガニスタンとの友好的・協力的な関係を引き続き発展させていく用意がある」と、タリバン政権を歓迎ムードだ。
その理由として一帯一路で世界覇権をもくろむ中国としては、アフガニスタンが重要な位置にあることだ。
中国はアフガニスタンの石油・天然ガスのパイプライン開発をはじめ、いろいろな投資を100憶ドル以上も行っている。
さらにタリバンは中国のライバル、米国と対立している。米国がこれまで正式に支援してきたアフガニスタン政府にタリバンが勝つということは、中国の存在意義を全世界に示すことにもなる。
中国はタリバンを正式なアフガニスタン政府に後押しすることで、影響力をつけ、隣国のイランにこれまで以上に接近する。中国の一帯一路政策は着実にすすみ中国のもう一つのライバル国であるインドを包囲することになる。
遠いアフガニスタンのことと、関心がない日本人も多いが、中国が中東諸国を制すると、石油の85%、天然ガスの23%を中東から輸入している日本は、中国の言いなりにされかねないのだ。
アフガニスタンが、これからどうなるかわからないが、我々日本にとっても他人事ではないのである。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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