町中幽霊だらけ? ナナメから見るとお盆は不思議な風習
エンタメ・2022-08-11 18:27筆者はエホバの証人というカルトの家庭に育ったもので、お盆やお彼岸といった日本の伝統的な風習について、あまりよく知らない。ご先祖のお墓も一度行った記憶があるかないか程度である。
そんな筆者だから、お盆という風習を、ついナナメから見てしまう。するとなんとも不思議な風習なのだ。なんといっても亡くなったご先祖さまの霊が、わらわらと家に戻ってくるのである。ご先祖さまなのだから、子孫の家くらい知っておいて欲しいものなのだが、中には迎え火や提灯という目印がないと、帰ってこられないご先祖さまもいるらしい。
もし家がわからなくて迷ってしまった場合どうするのだろう? 帰って来る家は「本家」とかいって古民家的な家を想像してしまうのだが、いまどきはそんな「本家」ばかりではなかろう。引越したりマンションに移り住んでいると、ご先祖さまも迷うのではないだろうか?
ご先祖さまの霊とはいえ、霊である。もし迷ってしまい家にたどり着けない場合、幽霊となってずっとこの世をウロウロすることになるのであろうか? いやさすがにそれはお気の毒だ。幽霊の世界にもお巡りさんのように、道案内する役目の霊もあるのだろうか?
もしそういう役目の霊がいないとすると、霊能者が見れば、この時期町は迷っている霊がウヨウヨしているのかもしれない。
家にたどり着いたご先祖さまは数日、その家に居つくらしい。何代くらい前のご先祖さまが帰ってくるのだろう? もし霊が見えたら、家じゅう折り重なるようにご先祖様がいるのだろうか? 去年亡くなったおじいちゃんの霊は、ひいおじいちゃに叱られたりしているのだろうか? そのひいおじいちゃんもひいひいおじいちゃんに・・・
そして生きている人たちは、ご先祖さまをおもてなしするために、夜になるとゾロゾロと広場に出てきて、輪になってぐるぐるぐるぐると踊るという。筆者も踊っている人たちを見たことがあるが、ニコニコ笑っている人はあまりおらず無表情で、手をひらひらとさせ全員決まった動きをしている場合が多いようだ。情緒があるといえばあるが、見方を変えるとちょっとコワい。
「アラレちゃん音頭」や「ドラえもん音頭」という楽し気な曲を踊っている子どもたちを見ても、楽しそうというより「振りを間違っちゃいけない」という感じなのだ。
ユニークなのがナスやキュウリに4本の足をつけたものだ。実はいまネットで調べたのだが「精霊馬(しょうろううま)」というらしくご先祖様の乗り物であるらしい。ナスやキュウリに乗ったご先祖さまを想像してみる。うん、なんともユニークだ。
お盆は盂蘭盆会(うらぼんえ)という死者を供養する仏教行事が元で、それに神道の先祖崇拝が重なったお祭りであるらしい。
前述したように、筆者はカルト宗教の家に育ったため、お盆のような伝統行事を行った体験がない。お盆が来るたびこの風習がなんとも不思議に思っていたものだ。そしてそういうお祭りができる人たちを少しうらやましくも思っている。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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