戦争は損なのだ
社会・2021-12-09 17:50真珠湾攻撃から80年、太平洋戦争敗戦から76年。日本人は戦争から何を学んだのだろうか? ひとつは戦争をやると損ということではないだろうか?
近代における日本の国際戦争は、日清戦争にはじまる。日本は勝利し、清国から澎湖(ほうこ)諸島、台湾と賠償金2億両(約3億円)を手に入れた。これにより経済が活性化し、「戦争をやれば儲かる」と日本国民は思うようになったという。
その9年後に日露戦争がはじまる。これも青息吐息ながらなんとか勝てた。しかし米国のユダヤ人銀行家ジェイコブ・シフなどから大変な借金をしなければならなかった。日本政府は日露戦争が終わった翌年の1906年から戦費の返済をはじめ、完済したのは1986年である。日本は日露戦争の借金を平成時代直前まで返済し続けていたのである。
太平洋戦争敗戦後、日本は奇跡の復活を遂げるが、これは朝鮮戦争の「朝鮮特需」や、ベトナム戦争の特需によるところが大きかった。一方、戦争を行っている米国は、朝鮮戦争でもベトナムや湾岸戦争、アフガン戦争に大量のお金をつぎ込んだが、儲かってはいない。
戦争とは外交であると同時に公共事業なのだが、普通の公共事業というのは、道路なり橋なりを作り物流が活性化することで、経済的に潤う投資なのだが、戦争の場合、道路や橋を壊しあう作業だ。
「軍需産業が儲かるのでは?」と思う人もいるが、米国の軍需産業の黄金時代は「冷戦時代」で、実際のところ、長い目で見れば軍需産業は戦争をしないほうが儲かるのが現実。戦闘機や戦車、軍艦などは、そうそう量産ができないうえ、戦争が終われば兵器の購入は激減するわけで、平和な時代に「戦争の脅威」を訴え続けているほうが、よほど安定的に儲かる。
また、核の時代、一発核兵器を発射すれば、報復合戦になり、人類滅亡もあり得る。よって戦争をすると大損だというのが、21世紀の常識なのだ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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